yukemuriのブログ

コント(掌編小説),いろはカルタ随想、江戸川柳色は匂へ、花かるた色は匂へ、趣味の5・7・5アラカルト俳句と川柳。

新しく「江戸を見れば」265年の整理に取り組んでいます。

つぶやき 125   豆腐屋の三男坊

 小学校から中学校までは同じ町内の友達が多い。


 中でも、豆腐屋の三男坊とは大の仲良しで、休みの日は朝早くから、太陽が出る前から彼の家に行って、あぶらげを揚げる手伝いをしたものだ。


 あぶらげの色と膨らみ具合を見て、ひっくり返すタイミングを身につけた。
 あぶらげが上がるころには、小売店に配達する豆腐の準備ができており、揚がり立ちのあぶらげを別の容器に入れて、彼と私で配達をした。


 配達が終わり豆腐屋にかえると握り飯と豆腐の冷ややっこに醤油をかけて朝飯にした。
 これが何ともうまかった。


 いまだに握り飯と豆腐に醤油だけをかけて食べるのが好きである。


 高校生になるとそれぞれの進路が違い少しばかり豆腐屋へ顔を出す回数が減ってきた。
 それでも日曜日や長期休みには豆腐屋に顔を出して手伝いをしたものだ。


 彼は喘息の持病を抱えていた。
 豆腐屋は長男が跡を継ぎ、次男三男は都会へと出ていった。昭和の戦後はそんな時代であった。
 彼は都会の空気が合わなかったのか持病を悪化させえて30代で旅立ってしまった。
 いまだに思い出す彼の姿は高校生のままである。


   山はみどりに  咲く花もえて  錦飾るはネ
   いつの日ぞ   ダンチョネ


 戦後の昭和30年ごろまでは、こんな時代であった。


 彼や豆腐屋の風景は今でも私の中で生きている。




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