yukemuriのブログ

コント(掌編小説),いろはカルタ随想、江戸川柳色は匂へ、花かるた色は匂へ、趣味の5・7・5アラカルト俳句と川柳。

新しく「江戸を見れば」265年の整理に取り組んでいます。

つぶやき 115  まつ手術看護師の声になごむ部屋

 手術室の前の廊下をはさんではすかいに「家族待合室」がある。


 初めのうちは部屋全体にピーンと張りつめた空気の中にテレビを見る人、雑誌や新聞を読む人、スマホを見ている人と誰もしゃべることなく待っている。


 看護師さんが入ってきて「Aさん。今、手術が始まりました。しばらくこの部屋でお待ちください。」と告げて部屋を出ていく。


 入れ替わりに70年配の男の人が娘二人と入室してきた。父親は少しばかり耳が遠いようである。娘さんができるだけ小声でそれでも周りの数人には十分聞こえる声で「頭を1cm程あけて手術をするようよ。」と話していた。
 母親のことであろう。かなり緊張している様子が伝わってくる。


 1時間ほど経過すると「Aさん、手術が終わりました。」と、ドアを開けて看護師さんのはっきりとした声が聞こえる。
 Aさんの緊張が解けていくのが体の動きと声の表情でわかる。それと同時に待合室の空気が一瞬緩んで優しくなる。


「Bさん。手術が終わりました。」
 先ほどの父親と娘さんが「えっ。もう終わったの速い。」といって、さらに待合室の緊張が緩んであったかい空気が流れる。


 最後の手術終了の看護師さんの声のときにはさっきの家族待合室とはまるで違った待合室の空気になっていた。


                  まつ手術 看護師の声に なごむ部屋

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