yukemuriのブログ

コント(掌編小説),いろはカルタ随想、江戸川柳色は匂へ、花かるた色は匂へ、趣味の5・7・5アラカルト俳句と川柳。

新しく「江戸を見れば」265年の整理に取り組んでいます。

コント 79 カフエ・ダンチョネ  二次試験 面接と論文

 登場人物
◆語り手(男)
◆大木 進(72歳年金生活)
◆鈴木陽一(進の親友カフエのマスター)
◆三浦信江(三浦夫妻の末娘22歳)
◆岩崎敏雄(信江の後輩、次期、人形劇サークル部長)


  M(コーヒールンバ) FI FO


語り手 2008年、平成20年の7月。暑い夏の盛りカフエ・ダンチョネは湯煙の中
   であった。6月の15日に日本列島に衝撃を与えた教員採用試験のニュースも今年
   の採用試験の日程に合わせて、受験生への配慮で自粛していたのか静かであった。
    一次試験を無事終えた三浦信江から連絡が入り、二次試験対策のために大木進と
   話し合っていた。


大木「一次試験はどうでしたか。」
三浦「先輩からの資料通り、基本的な問題でした。特別これはという問題はありませんで
  した。」
大木「基本的な問題を確実に取ることが一次試験の基本ですね。それはよかった。二次試
  験の論文も面接も基本を確かに踏まえておけばそれで十分なんです。」


マスター「コーヒーとサンドイッチ。ありがとございます。」


  SE コーヒーカップと皿をテーブルに置く


三浦「今日は、面接官を経験された大木先生から、面接官としての立場からのご指導をお
  願いしたいと思います。よろしくお願いします。」
大木「そうですね。或る意味では参考になるでしょう。
   論文も面接も内容については重なっています。論文は文章表現です。生活文や随筆
  や小説であってはいけない。意見を説得的に述べる論理でなければそれだけで読んで
  もらえない。
   そして、体験の知恵が生かされていること。体験をだらだらと書いてはいけない。
  教育活動に生かされる体験の知恵が光っていること。
   面接は論文を読んでいるうちにこの人に会って、論文では分からない人柄や覚悟を
  聞いてみたい。論文に書いていない部分を確認してみる。」


岩崎「参考になります。今日、先輩と一緒に来てよかった。」
大木「そうだね。敏雄君はこの一年間をうまく準備期間にするといいね。」
岩崎「ありがとうございます。」


三浦「論文と面接の基本的な内容はどんなものでしょうか。」
大木「1の基本は、教員を目指す動機と自己ピーアールです。2の基本は教育基本法と学
  習指導要領についての関心度です。3が教科専門と生徒指導についての具体的な深さ
  です。
   まとめるこつは、かなりの範囲ですから、短い一文でメモ風に多くまとめておい
  て、それをもとにお話ができるように準備しておくといいですね。」


岩崎「先輩。人形劇の活動が参考になりますね。全体を把握して部分のセリフを覚えてい
  く、あくまでも全体の中の一人としての役割を演じる。」
大木「敏雄君。それすばらしいよ。」
三浦「いい後輩です。部長、まかせたよ。」


   SE 三人の笑い声が場を和やかにする。


大木「陽ちゃん。コーヒーのお替りお願いします。」
マスター「ありがとうございます。」


大木「三浦さんにお聞きします。あなたが教師を目指した動機を自己ピーアールを交えて
  1分程度でお話してください。」


三浦「小学校5年生の時に学級発表会で人形劇をしました。その体験が、大学へ入って人
  形劇サークルへの入部を迷わず決める判断と決定になったと思います。
   チームで一つの物語をまとめる楽しさと人形を通して子どもと接する方法を身につ
  けました。
   上演するまでの準備の大切さ、台本選びや人形つくり、読み合わせと役柄の確認。
  そして子供と一緒に上演をまとめ上げる楽しさ。
   作品の鑑賞力や子供の生活指導の方法など教育活動に生かされると思います。
   この体験を是非教育の場で実践していきたい。これが私の教師を目指した一番の動
  機です。
   私の教育挑戦のテーマを表現活動のある学級経営にしたいと考えています。子ども
  と一緒に表現活動を楽しみたいです。」


大木「よくわかりました。ゆっくり話してちょうど1分です。
   もし、学級の児童のなかに、僕は人形劇をしたくない。という子どもが居たらどう
  しますか。」
三浦「先ず。子どもの考えを丸ごと受け入れて、最初は人形劇をみることから始めたいで
  す。」


大木「なるほど、カウンセリングマインドの受容ですね。
   敏雄君。人形劇をしたくないのですね。」
敏雄「何となく、難しそうだし、僕にはできそうにないです。」
大木「難しく、できそうにないのですね。」
敏雄「でも、簡単でできそうな役があれば少しだけなら・・・」
大木「できそうな役であればやってもいいんだ。」
敏雄「はい。」


三浦「ロールプレーイングですね。大木先生が初めに投げかけた。敏雄君の言葉をそのま
  ま(人形劇をしたくないのね。)と鸚鵡返しに投げ返す方法が大切なんですね。」
大木「そうです。したくないという子どもの心をまっすぐに素直に受け入れることが、子
  どもの心を開く基本ですね。」
敏雄「いい勉強になりました。初めてのロールプレーイングで、同時にカウンセリングマ
  インドの基本が少しだけ理解できました。」


マスター「あつあつの、コーヒーです。」


   SE コーヒーカップをテーブルに置く


   M(コーヒールンバ) FI FO


語り手 窓の外を眺めるとカフエ・ダンチョネを包み込んでいた湯煙がすっかり消え
  て、夏の日差しの中に合歓の花がゆれていました。




遊行ライフ十人十色の人生

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