yukemuriのブログ

コント(ショート・ショート)と教育の基本に力を入れています。いろはカルタ随想と江戸川柳色は匂へは推敲とまとめへ。「江戸を見れば」今が分るは1年を1ページにまとめ265年分に挑戦しています。

コント(掌編小説),いろはカルタ随想、江戸川柳色は匂へ、花かるた色は匂へ、趣味の5・7・5アラカルト俳句と川柳。

新しく「江戸を見れば」265年の整理に取り組んでいます。

いろはカルタ 「わ」 江戸と上方

    割鍋にとぢ蓋(江戸)

『似かよった者どうしが結婚すること、自分に相応する配偶者を選ぶのがよいこと。』


 大概の夫婦は割れ鍋に綴蓋である。欠点だらけの人間の寄り集まりでこの社会は成り立っているのだから当然の帰結である。


 不完全な男と不完全な女が結婚して、お互いの不完全な部分を補い合って生活しているのが現実である。
 知人に自分大好き人間がいて自分は欠点がない最高の人間であると思い込んでいるので始末に困る。


 寅さんの「それを言っちゃーおしめえよ」という言葉を家族にも親戚の人にも友人にも堂々と言ってしまう。どんな神経の持ち主か理解に苦しむ。


 一番苦しんでいるのは当人と思うのであるが。



  笑う門には福きたる(上方)


〖和気あいあいとしてにこにこしている人の家には、自然と幸運がやって来るということ。〗


 近年、笑いの効果が科学の目を通して、証明されて世間の話題になっている。笑う前と笑った後の血液検査の結果、笑った後、ガンに対する抵抗力を高める細胞が増え、免疫異常も改善されるという。
 無理に笑わなくても笑顔を続けるだけでキラー細胞が増え、笑った後と同じような効果が出たという。


「佐藤さんには、動きの激しい桂枝雀系の落語をまくらの部分だけを十分程度処方してください。」


「小林さんには、圓楽系の人情話をたっぷり処方してください。」


「浜嶋さんには、漫才を処方してください。笑いすぎると副作用で小じわが残るかもしれませんが、一晩で治りますから心配しないようにね。」
てなようなことになるかも



つぶやき8 落語 長屋と団地

    落語では、よく長屋が舞台になり、登場人物は、熊さん、八っさん、ご隠居さんという組み合わせが多い。今で言うなら、団地やアパートのサラーリーマンに当たるのでしょうか。


   すでに古典落語の中に現代の団地やアパートの生活の様子が描かれているところがおもしろい。「引越しそば」ならぬ「引越し洗剤」や「調味料」などを持って、管理人や大家が新入りを連れてあいさつ回りをする風景などインテリ熊さんの女房を連想しちゃいます。


   古典落語から現代の地域社会の新しいコミュニケーションのあり方を創造することができるかもしれません。




つぶやき7 落語 親と子

   わたしの好きな落語の一場面、父親がベロンベロンに酔っ払って帰宅する。
「せがれはどうした」と聞く。
「まだ帰ってきません」
「しょうのないやつだ。帰ってきたら意見をしてやる」


   そこえ、息子も酔っ払って帰ってくる。親父は目をこすりながら、
「これ、せがれ、きさまのような顔が四つも五つもあるようなやつには、この家はゆずれないぞ」
「な、なんでい、こんなぐるぐる回る家なんかいらねえや」という、「親子酒」や、「親子茶屋」とか、どれをとっても、その底に流れるものは、親も人間子も人間という平等の考えがにじみ出ている。


  親も子も言い合いながら、何かしら、あたたかい親子の情を感じられる落語の世界である。


   現代の親子関係を見直すよい材料になると思うのだが。



コント11 もうかえるの

「おかあさん、もう帰るの」


 恵美は残念そうにつぶやくのがくせになってしまった。
「そうそうお前のおつき合いもできないよ。早いもんだね。お前が結婚してもう二ヶ月が経ったよ、頑張らなきゃあ」


 満更でもない微笑を浮べて、母は恵美を元気づける。外国航路の舟乗りに嫁にやった責任感のような気持ちから母はたびたび娘の家を訪問した。


「オカアサン、モウカエルノ」
「ああ、帰るよ」と、いいかけて、母は笑った。
 毎度のことながら、母が玄関まで出てくると、玄関の下駄箱の上に置かれている九官鳥の長助か声をかける。母は恵美とまちがえて必ず返事をする。返事をしたあとで、なんだという顔つきで笑うのである。


 恵美も笑いながら玄関まで送りに出て、「なんでもよくまねするのよ」と、えさを与えた。


 新婚二か月で、夫の真治は船に乗り込み外国まわりが始まった。しかし、この海上生活もあと三か月のしんぽうだ。それから後は陸上勤務をすることが決まっていた。月給は半分に減るが、そんなことは、恵美にとっても真治にとつても問題ではなかった。


 真治が船に乗り込む前に、恵美の生活を思やり、買って来たのが、この九官鳥の長肋である。近頃では、恵美との生活に慣れてしまい夜明け方から夕方まで、しゃべりつゞける。
 それは、ことばを憶え始めた二、三才児が、手のつけられない程しゃべるのに似ていた。
 ある時は甘え声で、そして、ある時は、たかぶった声色で、長肋は憶えたことぱを関係なく羅列する。その声色は恵美の感情を実によくとらえていた。


 「ゴメンクダサイ、オハヨウ、モウカエルノ、オカアサン、ハハハ、オハヨウ、オカアサン」


 小さな声で、大きな声で、甘えるように、ささやくように、うったえるように、さえずりつゞける。


 母を送り出して、長肋にえさをやり、玄関に腰を降ろすと、恵美は溜息をつく、若さと健康と暇と金があり仕事のないことが、不満の種として心に積る。「さあ、頑張らなきゃあ」と、庭に出て力いっぱい背伸びをする。


 そんなある日、クラスメートの美子が、恵美の家を訪れた。
 「美子、ちっとも変わってないな」
 「おめでとう、恵美、おばさんに聞いたよ。見合いだって、まさかと思ったわ。後悔してるのとちがう」
 「とんでもない。しあわせよ。でも、いささか退屈ね」
 「ほん音はいたな、そりゃそうよ。金はあるし、瑕もある。健康でありあまるエネルギー、愛する夫は海の上、あぶないなあ」
 「何がさあ。美子とちがいますからね」


 久しぶりに会った同級の女同志、たまりにたまった日頃のうっぷんをん一気に晴らすかの如く、話題は尽きず、前後の関連なく思いつくままに乱れ飛ぶ。


 「美子、新聞記者って、なかがかなんでしょう。いつまで続ける気」
 「実はね、私も近々、結婚することにしたのよ、それで新聞社やめようと思うのよ」
 「またかつぐ、悪いくせなおらないのね」
 「本当、本当、うそじゃない。今度の仕事が最後になるかも、ほら、御当地出身の、英文学者の朝岡先生のインタビユーなのよ」
 「結婚の相手はやはり新聞記者なの」
 「そう、共同通信社の外電担当でね、新聞記者といっても、机にかじりついて翻訳して、整理するのが仕事。私も、その方をお手伝いしながら、将来は本格的に翻訳の仕事やってみようと決心したの」
 「うらやましいなあ、やってみたい」
 「あしたの、朝岡先生のインタビューいっしょにいかない。何かの参考になるかも」
 「いいか知ら、ついてって」
 「まかしときなさい。かなりずうずうしくなったんだから、あっ、それに、言おう言おうと思って忘れてたけど、恵美にお熱上げてた同級の野口文夫君、彼、放送記者でがんばってるわよ」


 恵美は瞬間、血のふるえるのを感じたが、美子には気取られずにすんだようである。


 次の日、恵美は美子といっしょに、朝岡先生を訪問した。美子は三日間、この地に滞在し、仕事を済ませると本社へ帰った。
 帰りしなに、野口文夫の名刺を恵美に手渡し、実験者がある種の好奇心で目を輝かせるように笑った。


 少し退屈ではあるが、平穏でつつましやかな恵美の心の中をかき乱して美子が帰ったあと、恵美は、暇と金と若さで憂うつになるのであった。


 日は無為に過ぎて行く、時折、思い出しては、文夫の名刺を取り出し、受話器を取るのであるが、途中でやめてしまう。
 しかし、ある日、遂に決行した。呼び出しのベルがルールールールー と、いやに耳に残った。


 夜の明けるのが早くなり、あちこちで梅の便りが聞かれ始めた。次の日曜日にでも、父母をさそって梅見にでも行こう、恵美はこよみをくった。


 玄関に出て、力いっぱい青空に向って、背伸びをした。これが、恵美にとっての唯一の若さの表現である。
 郵便受けに手を入れると、真治からの絵ハガキが届いていた。新しい港に入るたび、その土地の絵ハガキか写真を同封して定期便のように配送されている。


 「サデイナ港に碇泊、仕事が終わり、今日は給水のため特別休暇、同僚とサデイナの町に上陸、船上生活最後の記念品と恵美への土産を買う。サデイナの並木路を恵美と一緒に歩きたい、あと二か月 真治」
 読み終わって恵美は幸福感に浸った。


 「モウカエルノ、フミオサン」


 恵美は夫真治からの絵ハガキを取り落した。
九官鳥の長助に恵美は心の一端を覗かれたように思えた。


つぶやき6  検証苦手な日本人

    日本社会はどうも検証が苦手のようだ。と、つい最近まで思い込んでいた。しかし、大企業の粉飾決算の実態を知るにつけ検証が苦手というのは私の認識間違いであったと思い至った。
  本当は、日本人は現場検証にしても科学における仮設、実験、検証にしても優秀な能力を持った民族であると思う。
 では、何故日本社会は検証がにがてだと思い込んでしまったのか、それは日本社会が情報を公開することが出来にくい社会であったことに起因するのではなかろうか。
  都合の悪い情報は握りつぶすか、粉飾するかで正しい情報に触れることが極端に少なかったこと。日本の軍隊にせよ、原発事故の問題にせよ、大企業の粉飾決算にせよ国民は蚊帳の外である。
  おまけに、自分の仕事上で知りえた情報については勝手に公開すれば法的責任を取らされるように仕組まれている。よほどの事情がない限り仕事上で知りえた情報を漏らすことはまずない。
  これからの社会は、徹底的にあらゆることに対して検証をして、その結果を正しく国民に知らせるように法的にシステム化していくことが民主化への一歩であろう。


       秘密洩らせば  処刑になるぞ  
     漏らさぬ秘密でネ 国滅ぶ   ダンチョネ