yukemuriのブログ

コント(掌編小説),いろはカルタ随想、江戸川柳色は匂へ、花かるた色は匂へ、趣味の5・7・5アラカルト俳句と川柳。

新しく「江戸を見れば」265年の整理に取り組んでいます。

コント41   大友義鎮(よししげ)(後の宗麟) 不安の青春期

 別府分館の庭は、梅が終わり、桜の木が勢いを増してきた。


 大友義鎮(よししげ)は、別府分館の庭より別府湾上に突き出た国東半島の連山を眺めては吐息を漏らす日々が多くなった。


「父、義鑑(よしあき)殿は、わたしを嫌うている。わたしを憎んでいる。わたしを殺そうとしている」と思うのである。


 義鎮はここ1年間というもの、この思いに取りつかれていた。


 何かをしていないと得体のしれない不安が義鎮を襲い心が乱れて体がほてってくるのである。


「若殿、何を考え込んでおられまするか。」 縁側より、月心和尚が声をかけた。
 月心和尚は、義鎮少年時代からの学問の進講役として、大学、中庸、論語などを中心に講義をしていた。義鎮にとっては学問の師であると同時に人生の師であった。


「表向きは湯治であるが、その実、幽閉ではないか。この幽閉生活はいつまで続くのであろうか。月心和尚殿、父はわたしを嫌うている。憎んでいる。・・・」
 さすがに「殺そうとしている」という言葉は口にしなかった。嫌い憎もうとも実の父親ではないか。それだけは言いたくなかった。


 月心和尚は義鎮の言葉を聞き流す風に無言で二月の海を眺めていた。重たい静かな海であった。月心和尚には和尚なりの策があったがまだそれを口に出すべき時ではなかった。 今は待つのみ。

   杏葉(ぎょうよう)大友氏


 大友義鎮は、天文18年(1549年)二十歳の時から別府分館に幽閉されていた。


 義鎮は6歳の時に母を亡くし、父、大友義鑑は後妻に千代野を迎えた。やがて後妻千代野に八郎丸と塩一丸の男子が誕生した。
 後妻千代野が家老入田丹後守親誠(ちかざね)と相談をして、義鑑に進言したことから表向きは湯治、実質幽閉の義鎮の生活が始まった。


「義鎮は荒れている。嫁を迎えても一向に改まらない。大友家の跡取りには相応しくなかろう。当分の間、義鎮を別府の分館に幽閉せよ」
 父、義鑑のこの一言で決まった。


 しばらくして、月心和尚は穏やかに口を開いた。


「若殿、これからは部下の動きで決まりまする。家臣は鋭いもので、自分たちにとって誰が一番ふさわしい大将なのか自分で選ぶものでござります。あとは何も考えずに今夜はご酒でも召されて酔われてはいかがなものでしょう」


 義鎮と和尚は縁より座に戻った。


「灯を持ってまいりました」と、乳母のちぐさが燈明に火を入れた。急に辺りが暗くなった。


「明日は」の言葉をのこして、月心和尚の一日の務めは終わる。
「石宗殿にお願いいたそう」
 角隈(つのくま)越前守石宗は、義鎮幼少のおりからの軍師であった。明日のご進講は石宗殿ということで石宗の離れに下がった。


 和尚がさがって、部屋には義鎮と乳母のちぐさの二人になった。
「若殿がちょうど10歳におなりになった時、柞原(ゆすはら)八幡宮に参詣したことを覚えておられますか」
「覚えている」
「わたしが祈っておりますと、殿が『何を祈ったのか』と尋ねられまして、若様が早く成人されて九州の大将となられますようにと答えますと、『どうして日本60余州の大将になるように祈らなかったのか』と言われました。
「覚えている。ちぐさ殿が言った言葉も覚えているぞ。『先ず、九州の大将となられてから、次第に国の数を増やしていかれてください』とな」
「ちぐさの考えは、今も少しも変わりませぬ。先ず、大友家の立派な大将になられて、それからでございますな」


 義鎮は乳母のちぐさと話している時が一番心が和むのである。乳母の中にはっきりと母を見、また、女を見ていた。


 ちぐさが下がると続いて酒食が運ばれた。夜のとばりの向こうで、海が静かに動き、樹林の香が大友館の別府分館を包んだ。



つぶやき55    昨日と明日を孕む今日を

 今日という一日の中に、昨日があり、明日がある。今日という一日はとてつもない大きな一日である。そんなことを考え始めたのは還暦を過ぎてからのことである。


 妻がよく暗唱する藤村の詩がある。私も好きな詩なので、二人声を揃えて朗唱する。


「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ・・・・」特に私は第三連が好きだ。
「暮れ行けば浅間も見えず 歌哀し佐久の草笛 千曲川いざよふ波の 岸近き宿にのぼりつ 濁り酒濁れる飲みて 草枕しばし慰む」
妻はさらに続けて「ただひとり岩をめぐりて この岸に愁いを繋ぐ」で、詩の暗唱を終える。


 ええっつ、最後の一節はあったかなあと私が驚くと妻は確かにあったという。しばらく二人の論争が続いて、古い詩集を引っ張り出して調べてみる。小諸なる古城のほとりは、確かに草枕しばし慰むで終わっている。


 しかし、妻が付け足す最後の一節がなんともすばらしい。古い詩集の中にそれを発見することができない。そこで、インターネットで、「ただひとり岩をめぐりて この岸に愁いを繋ぐ」で検索をしてみると、藤村の千曲川旅情の歌が現れた。


 「千曲川旅情の最後の一節だったのか」二人で納得をした。


 千曲川旅情の第一連があまりにも有名で、そこだけしか記憶になかったことによる第四連の消失であった。


 「昨日またかくてありけり 今日もまたかくてありなむ この命なにを齷齪(あくせく)明日をのみ思ひわづらふ」なんと見事な書き出しの第一連ではないか。この第一連と第4連を結んで暗唱することにした。


 「昨日またかくてありけり 今日もまたかくてありなむ この命なにを齷齪(あくせく)明日をのみ思ひわづらふ 千曲川柳霞て 春浅く水流れたり ただひとり岩をめぐりて この岸に愁いを繋ぐ」


 明日知れぬ自分だからこそ今日のこの瞬間を大事に生きなければと思い。明日知れぬ明日を信じているからこそ今日のこの瞬間を力強く生きているのである。


 「昨日またかくてありけり 今日もまたかくてありなむ」の言葉に勇気付けられ、「今日一日の苦労は、今日一日で足れり」の心境で暮らしていけるようになったのは還暦を過ぎて、古希を迎えてからのことである。
 


つぶやき54  大学生による性的暴行事件頻発

「えっ、あの大学が。なんで」ニュースが流れるたびに「なんで、なんだ」と同じ言葉を繰り返してしまう。


 東京6大学をはじめ、旧帝国大学、医学部から法学部や教育学部とどうなっているんだ。
 昔も、大学生による性的暴行事件がなかったわけではない。あっても何年かに一度そんなニュースが流れる程度であった。


 この変化は「憲法」が機能不全になってしまった結果ではないかと思われる。憲法が機能不全に陥ったために、憲法に守られるべきその他の法律まで無視される社会になってしまったような気がする。


 労働基準法や労働法も機能しなくなったためにブラック企業が大手振って、過労自殺が増えていく傾向になった。


 拉致問題もいじめ問題も少年犯罪もその原因の深いところに「憲法無視」「憲法機能不全」が影響しているのではなかろうか。


 国家の柱がぐらつけばすべてが崩壊していく。


 教育基本法が制定されたとき「日本国憲法の理想を実現するためには教育の力に待たなければならない」と、法律で規定されていたのであるが、教育基本法の改正でそれが削除された。


 このことも教育が大きく変貌していった一因である。


「手段」が「目的」となってしまったために、教育がなさなければならない教育の役割、「日本国憲法の理想の実現」という目的が消えてしまった。


「手段」である有名大学に合格し、それが「目的」になってしまえば後はすることがない。


「人々の幸せのために」という目的はどこかに置き忘れてきた教育の現実があるような気がする。学問という意識が消えた大学教育は大学ではない。


つぶやき53    連想ゲームから俳句創作へ

 今から配る短冊カードに、これから示す言葉で、連想したことをメモして下さい。制限時間は二分、二分たったら合図をします。ペンネームも添えて提出して下さい。


 「ゆけむリ」(板書)  始めて下さい。


 「ゆけむり」の言葉で連想したことを短冊にメモする。


 提出された短冊を紹介して、もう一度受講生に返し、連想した言葉を使って一句ひねってみましょう。と俳句ゲームに入る。


 私が、下五に今の季節にふさわしい私の好きな季語を隠しますので、皆さんは感を働かせて上五と中七を作って下さい。


ゲームですから、あまりに考え過ぎないようにして、パッと書くこと、制限時間は三分です。


 私の隠し季語は、「梅日和」でした。


提出された短冊に続けて「隠し季語」梅日和を読み上げて一句にまとめる。


 隠し季語とぴったり合った一句には、ぴったり大賞などを付けながら全員の句を読み上げる。


 二回目の読みでは、自分の好きな句に拍手を送る。拍手の多かった句を今回の優勝句にする。


 今回の優勝句は次の通り


   窓を開け心地よい風梅日和
   暖かく寒くもあるぞ梅日和


 ゲーム俳句にしては、全員とも個性的で面白い俳句に仕上がった。皆もできの面白さに大喜び。俳句に取りつかれそうと。


 講義につかれた時の十分間の連想俳句ゲームは楽しいし、論文指導にも役立つ。「ことばの向うにあるもの」を実感させる一つの手であると思う。


 小学校3年生から、中学校3年生まで、それに教職員やこれから教師を目指す受講生に俳句連想ゲームを実施した。ゲームという言葉でみんな気楽に参加し、それなりの俳句や文章作りに対する興味関心を持つきっかけにはなった。


 退職をして10年を過ぎたころ、町でばったり出会った青年に声をかけられた。
「校長先生、あれからずっと俳句、創ってます」と、胸のポケットからメモ帳をとり出して新作の俳句を披露してくれた。


 何でも全校集会の時に彼の俳句を全校の生徒に紹介したことが俳句創作のきっかけになったということであった。私のメモ帳にも彼の俳句がメモされていた。
                   なんだか嬉しいね。ありがとう。




コント40  だんだん 子育て作戦カフエタイム 2

 第1回の水曜会ではコーヒーとケーキを提供したが、今回はカレーライスとだんご汁を出すことにした。
 朝早くから、千恵と文乃は張り切っていた。健さんも武ちゃんも厨房にやってきてあれやこれやと手伝いをしていた。厨房に入る4人が揃い活気が出た。


 前回と同じメンバーが11時前に全員そろった。今回は最初からコーヒーを注文して会を進めた。


「最初に大木先生からこの会を進めていくための基本になる資料を提供していただきこれからの話し合いや指導方向の目安にしますのでよろしくお願いします」(野島和子)


「資料の説明をします」(大木)
 プリント配布


A 体験活動を多くして、自信を育てる


1 姿勢を正して呼吸を整える。
2 朗読や文章表現活動を楽しむ。
3 適正な生活の場を提供する。
4 学習活動に挑戦していけるような援助をする。


B 自信を大きく育てる方程式


分子) 賞・受容・成就成功・理解・体験・安定感
(分母) 罰・敵意・欲求不満・不安・恐れ・劣等感
 


「一度に全部を説明しても理解しにくいので、AとBについて基本的な考え方をお話します。


 Aの1が健康管理の基本です。2が生きていくための表現活動の力、いじめ問題も表現力で対抗していくことが出来ます。
 3が子供に必要は体験活動の場を提供しているか。その子に必要は生活の場とは何か。
 4が、学習の問題、いわゆる勉強のことが最終的には子どもに大きな影響を与えますので勉強好きにする。得意な教科をひとつずつ増やしていく。


 B は、Aをうまく展開していくために導く側(教師や親)の心得です。


 分母を小さくして、分子を大きくすることによって、自信が大きくなる。


 意欲のあるやる気のある子どもを育てるための方程式です。分母を0にすることはできません。大変です。


 一つ一つの項目については、その都度話題にして確認していきましょう。  例えば、分子の「賞」一つを取り上げても、褒め方ひとつで逆効果をもたらすことがありますから、深い理解が必要です」


「本日の資料を参考にして、今日の話題に入りましょう」(野島)


「先週の正広君のこともあわせて、今日は藤野さんところの小学校3年生の娘さんの件について話題にしてみましょう。先ず、家族構成はどうですか」(大木)


「私と主人と娘の3人です。近くに私の両親が住んでいますので休みの日は両親の家に泊りがけで遊びに行きます。主人や両親は娘を可愛がるばっかりですので、どうしても私の方が口やかましく子どもにあたります」


「時田さん、小3の娘さんの件どうですか」


「過保護な環境の中に口やかましいお母さんがいるという状況ですね。娘さんは誰に対しても反抗的になりますか」
「そうですね。そういわれてみると私に対してだけ時々反抗的になります」


「口やかましい場合でも、同じことをしてもその時の気分で口やかましく注意したり、しなかったりというようなことはありませんか」
「あります。私も一人っ子で少しわがままなところがあると思います」


「お母さんの矛盾した態度や不一致の言動をなくすようにすれば意外と早く変化すると思いますよ」


「そうはいってもなかなかお母さんの態度や言葉を変えることは難しいよね」(大木)


「そうなんです。難しいですね」(藤野)


「そこでね。一呼吸置くコツを身につけてください。
 それは相手の言葉や行動にすぐに反応しないこと。それも親の考えや意見を言わないようにすること。
 例えば、今日は勉強しない。と子どもが言ったときに鸚鵡返しの戦法で今日は勉強しないのね。と、切り返して下さい。するとそれに対して子どもなりに次の答えを用意します。
 要は親が結論や方向を指し示すのではなく、子どもが自ら結論や方向を決定するゆとりを持たせるといいですね。」(大木)


「なるほど、鸚鵡返しの戦法なんて初めて知りました」(藤野)


 参加者のお母さん方からなるほどという賛同の反応をもらい。機会があったら「鸚鵡返しの戦法」を一度だけ実験してみることにしました。


「お昼にしませんか」とコーヒーとカレーとだんご汁の匂いが部屋に運ばれて、暖談の会話が熱を帯びてきました。
                     いいたまり場だ。