yukemuriのブログ

コント(掌編小説),いろはカルタ随想、江戸川柳色は匂へ、花かるた色は匂へ、趣味の5・7・5アラカルト俳句と川柳。

新しく「江戸を見れば」265年の整理に取り組んでいます。

江戸川柳 色は匂へ  「ら」 羅生門

 草履取君命で行く羅生門

 羅生門河岸=吉原の東側のはずれの通りの名。西側の西河岸と同じく切見世がある。切見世は江戸吉原の最下級の女郎屋。1軒1妓が原則。切(きり)とは時間売りの意。1切(ひときり)100文が相場であった。


 主人が妓楼に行くとお供は共部屋で主人の帰りを待つ。物わかりのよい主人は金をやって切見世へ行かせる。粋な計らい。


 羅生門河岸うでづくで引あげる

 羅生門の渡辺の綱とは反対に男の腕をつかんで引っ張り込む。綱は鬼の腕を切り落として持って帰るが、引っ張り込むのはすごいですね。こわいですね。


コント51    暗  殺

 義鎮(後の宗麟)が家督を継いで、大友家は日の出の勢いであった。


 将軍義輝に対して徹底した献金攻めをし、献金と賄賂の外交政策が功を奏して、将軍義輝より桐の紋を与えられ、九州探題職に任ぜられ正四位左衛門督(さえもんのかみ)に任ぜられる。


 家督を継いでしばらくは義鎮も多忙であった。


 多忙になれてくると多忙が停止した時となり、それが不安な時として義鎮の心に忍び込む。


 家督相続式の日に挨拶した「余は深く先代の意志を重んじ、各位の意向をくみ取り治国の実を挙げ、以て国運の発展を期す覚悟である。諸氏は今後とも余を補佐せよ」と。


 この初心も権力の座に就くことによって、その言葉を忘れてしまうようである。権力の座に就いた人間は支配されている人の内面を理解しようとしなくなり遂には理解できなくなってしまう。


 義鎮の精神は尊大となり、自己中心的な生き方になってしまう。それでも、月心和尚に諫められた時は神妙に考え込む。


 仕事が軌道に乗ると安心感と慣れからくる開放感が義鎮の心を動揺させる。


「酒が人を飲むのか」
 義鎮は月心和尚の言葉を思い出した、
「何故、我は酒を飲むか」
 自問してみるが答えはなかった。


 ただただ、得体のしれぬ不安が彼を酒に追いやる。義鎮自身、そのことに気づいていなかった。まして、得体のしれぬ不安が何から起こるのかは全く思いもよらぬ心の奥の奥の問題であった。


 酒に酔い頭の周りにこびりついたトラウマが静かに緩むと義鎮は涙を流した。一人で酒を飲み涙を流す大将は様にならない。マザーコンプレックスの塊のような男でしかなかった。


 酒を飲み、女を抱き、謀反人を打ち滅ぼしその首を府内にさらし、政略結婚の妻を離縁した。忌まわしい過去の思い出を清算し新しい門出の出発をしたのであるが、ふっと得も言われぬ不安が襲ってくる。


 義鎮はどんよりと曇った日か、しとしとと降り続く雨の日が好きであった。不安な心は時として恐怖心に変わる。そうなると義鎮はじっとしていられなくなり無謀とも思われる行動を起こす。


 父義鑑の弟で肥後領主の叔父にあたる菊池義武が不穏な動きがあるとの情報を得て肥後の平定に打って出た。


 家督を継いで、初めての戦が叔父、菊池義武を殺すことから始まった。


 この戦は大友一族の最後を象徴するものであった。父に裏切られた心の傷が義鎮の人格に影響をして彼の一生を左右する。


 義鎮は叔父義武と一旦和睦をして、豊後に身柄を護送の途中、直入郡木原の宝泉案庵に宿泊中を襲い暗殺した。


 無力の状態の肉親を殺さねばならなかった義鎮は強迫観念に取りつかれた異常者であり、叔父を殺したからといって義鎮の心が平穏になることもなかった。


 美人過ぎる義武の女を腕の中で慰めて彼の心は安堵した。


 20代の義鎮の心は震え、体は男盛りの体液で燃えていた。酒を飲み、戦をして女を抱くことによって彼は生きていた。



花かるた 色は匂へ  「に」 日日草(夏)

 花の名の日日草の凋みけり   後藤夜半


      季節の花300より

 花言葉は「生涯の友情、優しい追憶、楽しい思い出」


 朝咲いて夕べには散る1年草。梅雨のころから中秋に至るまで日々咲き続ける。西インド原産の淡紅色の花が多く、まれに白い花もある。
別名「日日花(にちにちか)」


       季節の花300より 


 鉢植えの日日草を貰ったが、上手に育てれば咲いた花は2,3日は持ち、次々と咲いていく可愛い花である。晩夏から秋の暮れに凋んでいくときは得も言われぬ寂しさと優しい思い出がせつない。


コント50    いい湯だな

 居酒屋&カフエ だんだんの開店も予想通りのお客さんの人数と料理や施設の利用であった。


 大木進は高校時代からの友人、鈴木陽一と二人で午後のだんだんの温泉に浸かっていた。


「陽ちゃん、いい湯だね」
「進ちゃん、いい湯だね」
「陽ちゃん、美人の湯ってのは、お湯に入ると美人になるということ、それとも、美人が入る湯のことかな」
「進ちゃん、お湯につかると美人になるということよ。三大美人の湯に行ってみたけどね」


 高校時代から、大木進は鈴木陽一のことを陽ちゃんと呼び、鈴木陽一は大木 進(すすむ)のことをシンちゃんと呼んでいた。


 二人は気持ちよく「いい湯だな」を歌った。


 ババンバ バンバンバン ババンバ バンバンバン ババンバ バンバンバン ババンバ バンバンバン いい湯だな いい湯だな 日本人なら浪花節でも うなろかな うなろかな ここは南国 別府の湯


 そこへ「だんだん」の電機と情報システムを担当した三浦 光さんが入ってきた。


 三浦さんも一緒に三人で1番から歌った。


 温泉を出て、3人は2階の休憩室に上がった。温泉熱を利用した床暖房が体に優しい。別府湾が一望され12月にしては暖かい穏やかな海が夕日を浴びていた。


「2016年のHanabiファンタジアは、ここからよく見えますよね」と三浦さんが言った。
「12月の23日、24日はここで花火を見ますか」と陽ちゃんが言い、なんとなくここに集まる雰囲気になった。


「三浦さん、だんだんの料理の注文から決済までのATMシステムはあなたの考案ですか」


「長男が大手の情報システムに勤めているので意見やら器具やら相談して以前の仲間がみんなで手伝ってくれました」
「玄関を入ってすぐにATMのまえでボタンを押すと名刺大のカードがでてきて、各テーブルの端末器具に挿入して料理の注文ができる。帰りにATMにカードを差し込むと支払いができる。あれはすごいですよ」


 三浦さんの話によると支払いを済ませるとカードはリセットされてさらの状態で何度でも利用出来るという。更に、月の締めも年度の締めもボタン一つで書類が出来上がるということであった。


「注文から支払いまでのシステムはうまくいっているのですが、3Dシステムの映像と音響効果がうまくいくかどうかが気になるところです」
「これから試してみますか。陽ちゃんは、歌でこい、ピアノでこいプロなみの実力を持っています」
「久しぶりに引き語りをやってみますか」
「お願いします」


 居酒屋の小さな特設舞台でピアノを弾きながら「君恋し」を皮切りに数曲披を露をした。


「宵闇せまれば 悩みは涯なし みだれる心に うつるは誰が影 君恋し 唇あせねど 涙はあふれて 今宵も更けゆく 唄声すぎゆき 足音ひびけど いずこにたずねん こころの面影 君恋し・・・」


 少し低音の甘い歌声は流石、のど自慢の合格者として十分の力を感じさせた。


 これから後、陽ちゃんはだんだんの専属歌手のような存在になって常連さんの一人となった。ジャズでもシャンソンでも原語で歌いこなすところが凄い。


 一杯のコーヒーでかけ流しの温泉を満喫できるサービスは至福の時をプレゼントする。床暖房の休憩室は格好のたまり場である。だんだん。


花かるた 色は匂へ  「は」 花水木(夏)

 花水木紅ゆゑに人目ひく    野村久雄



      季節の花300より

 
花言葉は「永続性、返礼、私の想いを受けてください」  


 明治45年(1912)に当時の東京市長、尾崎行雄が日本の桜を贈ったお返しにアメリカからもらったもの。北アメリカ原産の落葉小高木。山野に自生する日本古来の「水木の花」もある。


 平成に入って急に庭の植木として目立つようになる。家を建てると大手建設業者が庭木に花水木を1本植えることが多くなった。


     季節の花300より


   秋につける赤い実と、紅葉も見事。